古文書講座 初級&中級 第1回を開講しました

 5月23日(木)。先週の上級講座に続き、古文書講座の初級・中級(平日開催グループ)の第1回講座を、午前と午後にそれぞれ開講しました。

 午前に開講された初級講座では、当館所蔵資料を題材に、これから古文書を読み始めたい方向けの内容で、古文書特有の表現や、文字のくずし方を一つひとつ紹介していきます。

 初級講座の第1回は当館所蔵の「水内郡中御所村篠原家文書」から、幕末の文久元年(1861年)、皇女和宮が京から江戸へ降嫁するにあたって、道中通過する村々の住民(村役人)が書き写した、幕府高官(老中)からの「触書」(いわゆる“お触れ”)をテキストとして使用しました。

 幕末の動乱の中で、婚約者と引き離されて将軍家に嫁ぐことになったことから“悲劇の皇女”とも呼ばれる和宮(親子内親王)ですが、その道中では、朝廷側から1万人、幕府側から1万5000人の大行列が編成され、道中・沿道の警護・宿泊のために、諸藩や村々も大動員されました。

 2万人以上の大行列全員が一つの宿場を通過するのに4日間(和宮のいる本隊は3日目)もかかることから、道中の村々の負担は非常に大きかったことが推測できます。

 今回の史料では、小休憩や昼休憩の際には、随行する幕府役人に対する村役人からの御機嫌伺い(=あいさつ)は「不及候」(及ばずそうろう=及びません)など、幕府側の配慮も読み解きながら、当館職員の講師が解説をしていきました。

同日午後の中級講座でも、当館所蔵資料を題材にしつつ、ある程度自力で読める方々を対象に、史料を読み進めていきます。

 今回テキストとして使われた史料は、今年3月22日(金)に『信濃毎日新聞』朝刊の連載コラム「文化の森へ しなの歴史再見」に掲載された、郷土史研究者・(故)飯島紘さんが生前寄贈してくださった家文書「伊那郡石曽根村飯島家資料」のうちの1点です。

リンク:〈しなの歴史再見〉古文書解読 先祖と「対話」も 郷土史研究者・故飯島紘さんの偉業|信濃毎日新聞デジタル 信州・長野県のニュースサイト (shinmai.co.jp)

 飯島家資料の中の「飯嶋家訓」(「嶋」は原文ママ)をテキストに使用し、判読書き下しと解説を交互に繰り返していきます。

 初級講座も中級講座も、昨年より10名増やした50名の定員で会場いっぱいの大盛況でした。参加された方々の向学心の高さに脱帽です。

 当館の古文書講座を通じて、文字を判読するだけでない、生の史料を読む楽しさも感じていただければ、と願っています。

歴史館ブログ

ページ先頭へ戻る