古文書愛好会 今年度の活動が終了しました

 225日(日)に総会と講演会が開かれ、今年度の古文書愛好会の活動が終了しました。

今年度は、館蔵文書を読む会、古文書演習(夏季・冬季)、探訪会(1013日(金)「安曇野を巡る旅」)といった活動が行われました。

 昨年527日(土)より5回にわたって行われた夏季演習、119日(金)より18回にわたって行われた冬季演習では、いずれも「伊那郡大草村横前家古文書」の整理に取り組みました。愛好会による横前家文書の整理は4年目、それでもまだまだ終わりが見えない膨大な史料群です。今回の整理は私文書が中心…人名や方言などに苦しみながらも、互いに聞き合いながら解読し、仮目録を作成しました。互いに聞き合うことは古文書を読む力をアップさせる近道…そんなことが仲間と和気あいあいとできるのが愛好会の良いところですね。

 昨年61日(木)より8回にわたって行われた館蔵文書を読む会では、田中煕収集文書(松代藩政文書)の「天明二寅十二月ヨリ同辰閏正月迄 日記」と「天明四辰年 御内勤日記控」の翻刻を行いました。これは松代藩真田家家臣の岩崎伊織とその父岩崎主馬による日記状の書留です。前半の4回は班ごとに読解を進め、後半の4回では全体会で発表、検討を重ねました。単に読解するだけではなく、わからないことなどは他の史料や文献を調べ補足し、丁寧かつ熱心な議論が行われ翻刻が完成しました。そしてその翻刻は、パソコンが堪能な会員の方によりまとめられ、書式を整え、誤字脱字等入念なチェックを経て冊子に仕上げられました。冊子は当館閲覧室で閲覧することができます。また、県立長野図書館や長野市立図書館などでもご覧いただくことができます。さらに、当館HPでも公開していますので、ぜひ一度ご覧ください。

https://www.npmh.net/old-doc/2024/03/r5.php

※過去の翻刻本も当館HP「古文書翻刻」ページで公開中です!

https://www.npmh.net/old-doc/

 25日に行われた総会後の講演会では、松代文化施設等管理事務所・学芸員の降幡浩樹先生をお招きし、「松代藩日記類の諸相」と題して講演をいただきました。前半は、松代藩の真田家文書の概要と近世の日記とはどのようなものかお話しいただき、後半は愛好会が翻刻した岩崎の日記がどのようなものか、会員と議論する形でお話しいただきました。内容だけではなく解釈にも踏み込んだ熱い議論が繰り広げられ、会員にとって「読んだ甲斐があった」と実感できるような講演となりました。最後の質問も、多くの方が手を挙げられ、時間を若干オーバーしてしまうほど熱の入った会となりました。翻刻を読み込み、会員の質問・疑問に丁寧にお答えいただいた降幡先生には感謝申し上げます。

 4月から令和6年度の会員募集が始まります。愛好会の活動に興味のある方は是非、お申し込みください。 (新井寛子)

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