みんなで創り上げる「館蔵文書を読む会」

 古文書愛好会で「館蔵文書を読む会」を行っています。「館蔵文書を読む会」とは、愛好会の活動の一つで、年間8回の活動の中で対象文書となる古文書を読み、社会背景などを考えていきます。前半の4回は班毎に分担をした箇所を読み進め、読みや意味などを班の中で検討、研究を行います。後半の4回は全体の場で各班が分担箇所について、読みを発表し、意味や社会背景について、調べたことや考えたことを伝えています。

 今年の館蔵文書を読む会の対象文書は「大井法華堂文書」です。大井法華堂は鎌倉時代から明治時代の神仏分離政策が行われるまで550年にわたって佐久郡岩村田にあった修験道場であり、佐久・小県地域で最大の勢力を誇りました。武田信玄などの有力大名からも武運長久等の祈祷を命じられています。また、法華堂歴代当主は熊野に入峯しており、その修業の際の日記が豊富に残されている点が注目されます。

 「館蔵文書を読む会」では、その日記の一部を扱っています。一部といっても、印刷をしたもの200ページにも及ぶ史料です。それを全8回しかない会で読んでいくのですから、大変なことです。

 12月2日の会は全8回中7回目の会でしたが、班で分担して読み解いたものを全体の会員に発表をしていました。発表班の中で決められた発表者が発表し、司会が「〇〇ページいかがでしょうか?」と全体に問いかけながら進めていいきます。参加者から「私は~と読んだのですが、いかがでしょうか?」といった意見があると、司会が「みなさんどうでしょうか?」と問い、全体が「その方がいい」となると、その読みが決まっていきます。また、「この点のようなものは『候』ではないか?」といった指摘があると、みんなで「あ~、なるほど、確かにありますね」と確実な読みにしていきます。さらに、意味のわからないことは、参加者から「ちょっとわからないんだけど…」と気軽に意見を出し、みんながそれについて調べてきたことや過去の読みなどで気づいたことがあれば、発表し合い、考えを練り上げていました。この古文書を「読む」姿勢は、20年にも及ぶ当館伝統の古文書愛好会がずっと大切にしてきたものではないかと思うと、心が熱くなります。

 実は、年度当初の予定ですと、12月2日が最終の予定でした。しかし、9月の会が新型コロナウイルス感染拡大のために中止となったため、会員の要望と熱意により、12月23日を新たに設定し、全8回を全て実施していただくことができるようになりました。これもすごいことですね。

 「館蔵文書を読む会」で会員のみなさんが読んだものについては、会員自身で年度末に冊子としてまとめ、閲覧室に配架をするとともに、当館HPでも公開します。県民の皆様にも古文書愛好会活動の成果を見ていただくのが楽しみです。(*^_^*)(文献史料課 大森昭智)

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