古文書公開日記47 ―古文書整理のサポーター―
新年度がスタートしました。ブログも引き続きよろしくお願いします。
昨年度末で当館で整理された公開古文書の点数(未公開史料は含みません。また公文書も数字に入っていません)が30万点を超えました。開館27年目を迎えていますから、1年に1万点以上の文書が日の目をみていることになります。下の写真は当館に寄贈されるまえの状態の文書です。
さて、この公開には当館の古文書整理のサポーターのみなさんの力が大きいのです。現在8名の方がボランティア登録しています。
当館に入ってくる古文書は、ざっくりいうと①寄贈・寄託、②購入の2種類があります。例外も多いのですが、そのほとんどが目録がなく、どんな文書が含まれているかわかりません。点数すらわからないというのが実情です。そこで、まず箱の中にある文書を、順番を崩さずにナンバリング(固定の番号を付与すること)していきます。こよりでまとめられているものは、その状態を崩さず記録していきます。無造作に見える並び方も、最終段階でまとめた秩序であるので、並び順それ自体に意味があるのです。この秩序を「原秩序」といいます。原秩序を大事にしながら整理をする。これが第一段階です。
つづいて整理の第二段階に移ります。エクセルのシートに1点1点ごとのデータを記入していきます。データの取り方は、1点ごとのデータを1枚にまとめるカード式と、一行に1点のデータを記入していく表形式があります。当館では後者で目録を作成しています。 データは①文書の年月日、②差出人と受取人、③文書のタイトルと書かれている内容を読み取っていくのです。第二段階は古文書読み取り能力を必要としています。
最後に保存段階に移ります。仮番号を記したラベル(中性紙の紙に番号を記したもの)を中性糊で塗布していき、1点ごと中性紙の袋に封入していきます。このとき文書と番号の袋を入れ間違えないことが大切です。一度迷子になってしまうと、探し出すことが難しくなるからです。封入した中性紙の袋は、整理箱(中性紙の箱)に詰めていくのです。
以上の三段階を経て、整理が完了します。データは当館のデータベースに登録し、ホームページで公開されていきます。
さて、古文書整理のボランティアさん。それぞれの持ち味をいかしながら、読解を中心に目録取りをする方。ナンバリングやラベル貼りを中心にしていただく方。様々な関わり方をしていただいています。そして皆さん、楽しんで整理してくださっています!
実はほとんどの方が県立歴史館の古文書講座を受講された方・あるいは受講中の方ばかりです。古文書の面白さを講座のなかで感じられた方もいます。講座では実物に触れることはほとんどありませんが、このような作業を通じて、日常生活のなかで古文書をもっと身近に感じていただいているのではないか。担当者としては皆さんのサポートに感謝しいつも頭が下がる思いです。
古文書講座も募集が14日より始まります。この機会に古文書を生活の一部に組み込んでみてはいかがですか(村石正行)