縄文コーナーに、顔や土偶のついた土器が登場

 常設展示室の縄文コーナーでは11月末から、新県宝「信州の特色ある縄文土器」に指定された土器(複製)を増やしました。
 「縄文土器=縄のもよう」と思っている方も多いかも知れませんが、実は信州の縄文人は芸術家ぞろいです。その「特色ある」とされた土器には、釣手土器、有孔鍔付土器、顔や人体の装飾がついた土器があります。いずれも、信州~西関東の縄文時代中期に多く見られる特徴です。釣手土器は、すでに9月から諏訪市穴場遺跡出土の動物装飾付釣手土器を展示しています。ヘビとイノシシが合体したような不思議な飾りがついています。そして、今回、南箕輪村久保上ノ平遺跡出土の人体装飾付有孔鍔付土器と、伊那市月見松遺跡出土の顔面装飾付土器を加えました。
 久保上ノ平遺跡の人体文をよく見てください。背中からお尻の形は国宝土偶「縄文のビーナス」(複製を展示中)が痩せたような感じです。お尻が正面に見えると言うことは後ろ向きで土器に貼り付いています。ところが、頭の方に目をやると、ドクロのような顔がこっちを向いているではありませんか? これには、見た目通り体と頭が反転しているとする説と、後頭部によく見られる装飾が変形して顔のように見えるにすぎない、という説があります。みなさんはどう思いますか。
 月見松遺跡の土器には、器の上に顔が乗っています。樽形のようにふくらんでいる器本体が女神の体を現し、豊穣や子宝に恵まれることを祈ったという説があります。
 信州には、特色ある縄文土器がたくさんあります。当館で釣手・有孔鍔付・顔面付の3点セットを確認してから、県内の各博物館、資料館にある実物を見に行ってはいかがでしょうか。
 また、弥生コーナーには、長らく県内の巡回展で旅に出ていた松原遺跡の人面付土器(中期)と西一里塚遺跡の人形土器(後期)がもうすぐ戻ってきます。こちらもお見逃しなく。 

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