河童だより7 河童とニホンカワウソ

 「河童」という文字の初出は、室町時代の国語辞典『下学集』と言われています。「獺(カワウソ)」の説明として「獺老いて河童という者になる」とあります。カワウソが老いると河童になると考えられていたようです。長野県内では、河童のことを「カワウソ」と呼んでいた地域もあり、カワウソが河童のモデルの一つなのかも知れません。
 ニホンカワウソは、かつて日本全国に生息していましたが、乱獲と開発によって生息数が激減していきました。ニホンカワウソの冬毛は緻密な毛が密集して生えており、保温性に優れ、防寒着としての需要が高く、高価な価格で取引されていたようです。
 昭和の初め頃には狩猟が禁止となりましたが、その後も減り続け、1965年には特別天然記念物に指定されます。1979年6月に高知県で目撃されたのを最後に国内での目撃情報は途絶えます。ついに2012年には絶滅種に指定されています。
 夏季企画展「君は河童を見たか!−水辺の出会い−」に展示しているニホンカワウソの剥製は、新潟県柏崎市周辺で捕獲されたものと思われます。この個体はまだ子どもで夏毛です。状態がよく、水辺に生息していた当時の姿をそのまま残しています。泳ぎがうまく、滅多に見ることができなかったニホンカワウソは、当時の人にとって河童と同じような不思議な存在だったのかも知れません。

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