河童だより3 河童はウマが大好き!

河童の大好物といえば「キュウリ」を思い浮かべる方が多いと思いますが、他にも「シリコダマ(肛門の奥にあるといわれる架空の臓器)」や「相撲」、「ウマ」が文献や伝承に登場します。
県内に数多く残る河童の伝承の中で、最も多く登場するが「ウマ」です。河童はウマを見ると、飛びついて水に引き込もうとします。ほとんどの場合は失敗し、人間に捕まってしまうので、成功率は低いと思われますが、それでも飛びついてしまうのです。
柳田国男をはじめとする多くの民俗学者が、河童の正体は水神が零落したものであると唱えています。かつて、水神に対する信仰は厚かったのですが、信仰が薄らぐ中で水神は河童へと零落したというものです。その根拠の一つが河童が馬を水に引き込む「河童駒引」です。水神へウマを供えていた習慣のなごりが、河童駒引きへとつながっているというものです。
今回の展示では、河童が登場する江戸時代以前の人と水との関わりがわかる考古資料も展示しています。その中の一つが水辺の祭祀用のお供えと考えられる「ウマ下顎骨」(飛鳥時代 千曲市屋代遺跡群出土 当館蔵)です。大切なウマをお供えするわけですから、それだけ水に対する思いも強かったことが予想できます。河童が本格的に登場するのは江戸時代以降ですが、それ以前の人と水との関わりについての展示も、河童につながる興味深いものになっています。夏の企画展「君は河童を見たか!−水辺の出会い−」は7月29日(日曜日)まで開催しております。ぜひお越しください。