古文書公開日記7−土屋家文書の整理 博物館実習より−

土屋傳による知事告辞の草稿の写真
土屋傳による知事告辞の草稿

 博物館実習が行われ、古文書の整理実習をおこないました。史料は芦田宿本陣土屋家文書のうちのC群を選びました。選択理由は豊富な近現代史料を含み、江戸時代の崩し字にくらべて比較的読みやすい史料ということ、第2に、対象とした時代(昭和初期)に長野県庁学務課の視学(現在の指導主事)だった土屋傳さんが残した教育行政関係のものが多く含まれており、博物館学や教職を学ぶ学生さんたちにも触れていただきたかったからです。すでに江戸時代の部分は公開されていますが、仮目録だけできているものの電子化されておらず未公開部分が多く残っていました。
 実習生は文書を仮目録にならって整理し、現物とつきあわせながら文字を解読し直します。最初は独特のペン文字に難儀していたようですが、次第に読み込んでいくことができたようです。おかげさまでかなり整理することができました。
 この史料の中には、当時の長野県知事の数々の告辞(卒業式などの祝辞など)を土屋が代理で作成した際の草稿がたくさんあります。時局の進展にともなって、「国家の難局」「銃後」など戦時色の濃い言葉が並んでくることに気づかされます。視学による現場の教師の授業指導書類、教職員の思想動向について県側がかなり神経をとがらせていることをうかがわせる史料も多数あります。今回整理した者は戦前・戦中期の中等教育の指導的な立場にいた側の実態を教えてくれるものです。近日中に公開されることになります。

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