失われた鉄路をたどる4 もりあがる上田城本丸を横目に

別所線下之郷駅の脇にある西丸子線のホームと駅舎の写真
別所線下之郷駅の脇に西丸子線のホームと駅舎が残る

 大河ドラマ「真田丸」の影響で、上田城跡公園は連日観光客で溢れかえっています。こんな時に外堀の中だけを通り、本丸には目もくれずに二の丸仮設駐車場を抜け、矢出沢川の橋台跡へ向かう・・・なんてひねくれ者はいないでしょう。
 ここはかつて、上田電鉄真田傍陽(そえひ)線の線路敷でした。堀の中に架線の土台が残っていたり、公園前駅のプラットホームを見ることができます。実は、上田城跡は上田の近・現代史を語る上で重要な痕跡がたくさん残っている場所でもあります。
 ところで、この路線は真田氏本城跡がある旧真田町へ延びるため、各地で真田ファンと遭遇します。「なんで、そんなところを見ているの?」「ディープなマニアしか知らない真田氏の痕跡が隠されているの?」といった訝し気な視線・・・。でも、その先には古びたコンクリート構造物や近・現代の石積みしかありません。
 真田駅はバスターミナル横の駐車場下にプラットホームの基礎を見ることができます。少し上田方面に戻り、国道144号線から上田市立第5中学校方面に向かうと、第5中学校の手前で樋ケ沢駅の古びたプラットホームと線路敷が道路から見ることができます。
 気にして探してみると、プラットホーム跡も意外に残っているものです。上田電鉄関係では、西丸子線の下之郷駅をはじめ、複数個所で痕跡をとどめています。また、布引電鉄の布引駅、善光寺白馬電鉄の茂菅駅ほか、あるいは池田電鉄の複数ヶ所で駅やその痕跡が確認できます。
 ただし、前回もお話ししましたが、立て看板がなくても私有地は立入禁止です。公道から見学することができたとしても、プラットホームが個人宅や物置の基礎になっている場合がありますので、くれぐれも節度をわきまえてください。
 ※夏季企画展「夢をのせた信州の鉄道ー失われた鉄路の軌跡ー」(7月9日〜8月28日)開催まで、いよいよ一ヶ月を切りました。ご期待ください。

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