歴史館中庭のドングリを使ってクリスマスリース作り(12月20日予告)(木器保存処理室より10)

 9月に猛暑が続いた近年に比べ、今年は、秋の気配が早く感じられ助かります。しかし、歴史館中庭のコナラにはほとんど実がありません。なぜ、コナラの実が気になるかと言うと、冬季展のイベントで「縄文風クリスマスリース作り」を計画しているからです。
 「縄文とクリスマスを合わせるとは何ごとか」とお叱りを受けるかも知れませんが、対象は保育園から小学校低学年の子ども達と保護者に絞っています。縄文時代への関心がほとんどない世代に、ドングリが大事だったということを知ってもらえれば、成功と考えてます。歴史館裏山で採れるアオツヅラフジやアケビの蔓で輪を作り、クヌギやコナラ・ミズナラ・クルミ等、当館中庭の「縄文の森」の恵みを使う予定です。
 さて、これまでは、農耕が始まったから定住生活ができるようになった、というのが定説でした。ところが、縄文時代初頭(約1万年前頃)にはじまった温暖化で、北半球の中緯度地帯がドングリ等の森で覆われることになり、大型獣を捕まえにくくなり、定住生活に移らざるを得なくなった、という説が有力になってきました。農耕は、その後にはじまったのです。重要なのは、イノシシ・シカや魚に加え、大きく増えたドングリ類を食生活に使うことです。
 縄文時代の日本列島、特に東日本地域では、深い鍋が発達します。寒い冬に鍋料理もよいのですが、ドングリの中でもエグ味のある類は、アク抜きの必要があります。深い鍋(深鉢形土器)は、こんな時にも重宝したと考えられます。生活を支える深い鍋への思慕、信頼、祈り、そんな気持ちから、深鉢形土器への過剰な装飾が発達していった可能性があります。

 11月29日(土曜日)〜2月1日(日曜日)「縄文土器展 デコボコかざりのはじまり」ご期待ください。

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