県内最古の「蘇民将来符」、保存処理はじまる(木器処理室より8)

6月初旬、永らく冷蔵保管していた木簡の保存処理に踏み切りました。中には、2006年度に「県内初出土!県内最古!」と注目された千曲市東條遺跡出土の「蘇民将来符(そみんしょうらいふ)」も含まれています。
蘇民将来符は、蘇民将来という人が旅人(実は薬師如来の化身の牛頭天王)に宿を貸した際、旅人に言われたとおり、代々「蘇民将来子孫人也」と書いた札を門口にかけたところ、子々孫々まで無病息災で繁栄した、という伝承にちなんで作られた護符です。今では、大きなにぎわいを見せる上田市信濃国分寺の八日堂縁日が知られています。
ちなみに、信濃国分寺の例は六角柱ですが、全国各地にはさまざまな形の例があり、木札状のものや、紙でできたものもあります。東條遺跡例は、薄い木札で、長さ約23センチ弱、幅3センチ弱、厚みは1ミリ程度です。表に「蘇民将来子孫人□□」(□内は判読不明)、裏には陰陽道(おんみょうどう)でセーマンと呼ばれる「☆」が一つ付いています。
わが家にもある信濃国分寺の蘇明将来符 13世紀後半〜14世紀の室町時代窪地から出土しており、県内最古の例とされています。全国で80例余り出土しており、古い例では、奈良時代にさかのぼる京都府の長岡京跡の例があります。
今年度内に、保存処理を済ませ、来年には、みなさまにお目にかける機会をつくりたいと考えています。2015年度の秋頃の予定です。ご期待ください。