御入峯日記
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御入峯供奉日記 58 也、御召替之舟も同断、若王寺子 防官方舟も惣屋形、紀州公御名代 御役人之舟は惣屋形、吹ぬき幕 幡緋緞子也、七ツ道具、弓・鉄鉋炮 錺立、御座舟ノ跡ゟ廻り、始終 附随、誠以何れも美々敷舟なり、 先達・年行事・御直院、小ノ屋形舟、 かこ八人ツヽ、舟惣数五六十艘も 有へし、御帰り懸淡*嶋明神 御拝有、九ツ時還御、御昼後 八幡宮・弁天社御拝、頭*巾石・袈 裟懸松御覧、海辺ニ而暫御休足、 七ツ時還御、 十六日、快晴、卯刻御出門、靡 *淡嶋明神:和歌山市加太に鎮座する神社。旧称加太神社。婦人病に霊験あらたかな神として信仰されるが、医薬神たる少名彦命すくなひこのみことを主祭神とするのに由来する。俗説では、住吉神の妃神で、帯下こしけの病のためうとまれて、この地に流されたという。また、御祭神少名彦命と神功皇后の男女一対の御神像が雛の始まりとなり、友ケ島からの遷宮3月3日がひな祭りの日となった。 *頭巾ときん石:加太北浜にあった頭巾形の石。京都円成寺亮賢がこの石を尋ねた時の歌が残っている。
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