御入峯日記
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御入峯供奉日記 53 王子、廿丁程行角瀬王子、井関村 津兼王子、次川有、高廣村人足改処 橋を渡、湯浅村弁天社、御本陳 深*泉寺、手前抔は寺中、八ツ半時 御出門、爰迄色々伊達道具、御迎ニ来ル、 夫ゟ糸鹿我峠へ懸難処、峠ヲ下り 有田川舟渡し、夫ゟ糸鹿我村、能処、 爰ニ中*将姫被捨給ふ旧跡、ひはり山 徳*正寺、宮原村、夫ゟかぶら峠、余程 登、峠ノ上畑村家四五軒、下りから畑村、 沓掛村、夫ゟ橘本五ツ半御着、 此間王子其外御拝、龍宮立神社有、御本陳 真言宗岩屋山福*正寺、 十三日、快晴、五ツ御出門、藤代峠峯ニ 地蔵尊堂有御拝、若王子宮御拝、 *深泉寺:深専寺じんせんじ。本尊阿弥陀如来。行基の開基で、もと海雲院と称した。有田郡湯浅町。 *中将姫:中将姫伝説。当麻寺に入って法如と号し、蓮茎の糸で曼荼羅を織ったという。一説に、継母のため大和の雲雀山に捨てられ、無常を観じて当麻寺に籠もったともいう。 *徳正寺:雲雀山得生寺ひばりやまとくしょうじ。本尊阿弥陀如来。中将姫の臣、伊藤春時創立の草庵がもと。 *福正寺:福勝寺。紀伊路橘本王子近くの高野山真言宗の古刹。落差20mの裏見の滝あり。

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