御入峯日記
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御入峯供奉日記 48 行事罷出、近*露村七ツ過御着、 禅宗見*正寺御本坊、 十日、快晴、七ツ時御出門、 御先江駕籠ニて出る、町離れ 大川有、新に橋普請出来る、 大坂峠へ懸る、若一王子甚長く 難所なり、壱里半行家四五軒 茶屋あり、入口御茶亭たつ、 十丈王子、次ニ大門王子有、 余程下り熊野権現社あり、 次ニ芝村入口瀧*尻王子、十三丁 左り入芝村御本陳マナコ類二郎、 紀州公ゟ御頼被置候御本陳 之由、手前ハ皿や甚三郎 *近露ちかつゆ村:皇位を追われた花山かざん法皇がここで昼食をとった際、萱を折って箸にしたところ、萱から赤い汁が出たので、法皇が供の者に「これは血か露か」と尋ねたのが近露の起源とされている。そして以来この峠を箸折峠と呼ぶようになったという。 *見正寺:見松寺。田辺市中辺路町近露にある曹洞宗の寺院。 *瀧尻たきじり王子:五体王子の一社。滝尻王子宮十郷神社たきじりおうじぐうとうごうじんじゃがある。主祭神は天照大神。田辺市下川。 *
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