御入峯日記
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御入峯供奉日記 46 御小休、夫ゟ大山村・西ノ村・楠窪村下り 甚長し、九ツ時小*口村御着、御本陳 中村文左衛門、手前抔ハ中村為介、 壱汁五菜之馳走、是ゟ小*雲取 といふ甚長く難所也、尤道 普請ニて道はよし、壱里半過石 堂村、此処御小屋在、御休、此間 村二三ケ処あり、宇ケ川村本宮江近シ 是ゟ松明ニて還御、 九日、快晴、六ツ時御出門、 御輿長*床坊・神主、町はなれ まて御見送り、馳走役人 出ル、三拾丁峠行、伏拝村右之方 伏*拝王子有、石之小社あり、少シ先ニ 和泉式部之供養塔あり、次に *小口こぐち村:現熊野川市。大雲取越と小雲取越の中間点で、多くの参詣者はここで休みをとった。 *小雲取:旧小口村から本宮大社へ向かう険しい峠越えを小雲取越こぐもとりごえという。 *長床坊ながとこぼう:長床衆。神社の長床(拝殿や細長い礼殿)に止宿、参籠する回国の修験者を客僧といい、そのうちで長期にわたって滞留する人々を長床衆(長床坊)と称した。 *伏拝王子ふしおがみおうじ:大斎原おおゆのはら(旧本宮大社)がよく見える所で、伏して拝んだのでこの名がある。
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