御入峯日記
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御入峯供奉日記 43 夫ゟ小久路峠大久路峠、濱ノ宮 村少シ手前ニ御小屋立、実方院ゟ 色々献立、先達・年行事御供 不残赤飯出る、年行事江まんちう・ 赤飯・酒出ル、夫ゟ少し行濱之宮村、 爰に熊*野権現、石ニ千手観世音 額に補*陀洛山寺ト有、是迄壱里、 夫ゟ那*知山江弐里、道ニ二ケ処御拝処 有、那知智山石垣余程の登りなり、 七ツ半時御着、本社御社参、御本坊 江御着、実方院也、手前とも宿ハ 圓乗院、仁玉王門ゟ実方院色衣 大五條、西光坊黒衣大五條ニ而 御案内申上、仁玉王門額に *熊野権現:熊野三所大神社(浜の宮王子)。巡礼者はここで潮垢離をして那智山へ向かう。 *補陀洛山寺ふだらくさんじ:和歌山県那智勝浦町にある天台宗の寺院。補陀落渡海の出発点の寺で、境内には復元された渡海船があり、裏山には歴代の渡海僧や平維盛の供養塔がある。 *那知山:熊野那智大社。熊野三山の一。主祭神は熊野夫須美大神くまのふすみのおおかみ(伊弉冉尊いざなみのみこと)。那智の滝は、神武天皇が熊野灘から那智の海岸に上陸されたとき、山が光るのを見て探り当てたという。

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