御入峯日記
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御入峯供奉日記 39 当処廻船惣代江鳥目各々 壱人前弐拾四銅宛差遣し候、 先例ニ候間、今夕方迄ニ森御殿 御役所江銘々ニ持参可有之候、 以上、 伊*藤大蔵法橋 松*之坊法橋 寅九月三日 本宮到着 年行事中 右之通り差出ス 四日、快晴、辰刻御*出船、御座船惣屋形 紫 御紋付幕吹挽抜なり、坊官方 靡先達寄合壱船、年行事壱艘 其外五艘程出る、七ツ時新*宮御着、 両岸甚絶景なり、直に本社へ *伊藤大蔵法橋・松之坊法橋:伊藤家と松坊まつのぼう家は、代々若王子の候人を務めた。 *御出船:本宮大社から新宮へは熊野川を船で下る約1.5時間の船旅。 *新宮:熊野速玉大社。和歌山県新宮市に鎮座。主祭神速玉神は伊弉冉尊いざなみみことの御子速玉之男命はやたまのおのみことと言われている。旧官幣大社。新宮の鎮座地は、熊野川が海にそそぐ南岸にあり、神武天皇の故事で名高い巨石信仰の神倉山が控えており、霊地たるに相応しい場所。
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