御入峯日記
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御入峯供奉日記 35 登り慈*悲金剛童子御茶屋立、切原 むらより村役人罷出煎茶出る、また 壱り行、野頭御小休、御茶亭立、麓に 十津川見える、能けしき也、此所ゟ 紀州御領分堺なり、此峠下に 御門主様御馳走御輿、新ニ出来、御馳走ニ 出る、其外輿之如く成もの廿五ほと 御馳走に出し置、夫より切原むら 御本陳御着、供奉銘々着、手前抔ハ 御用人・御取次・医師・引導弐人・御直院 四人右同宿、野頭より壱丁程下り 切原切畑両むら家別れ道あり、右ハ 切畑村、三*宝院道筋なり、ひたり 切原むら当門様当御門主様御道すしなり、 切原むら入口紀州御役人郡奉行 二人・代官弐人・賄方壱人・大庄屋 *慈悲金剛童子:大峯八大金剛童子の一。修験道では除魔・後世・慈悲・悪除・剣光・香精・検増・虚空の八童子をいう。童子形をした忿怒尊。手に金剛杵こんごうしょを持つ。 *三宝院道筋:熊野本宮大社へは、この先聖護院本山派は切原村を通り、三宝院当山派は切畑村経由で、別々の道をたどって参拝したことがわかる。『大峯細見記』にも「・・・其ノ処左右ニ道アリ。是本山ハ左ニ行、当山ハ右ニ行。切畑邑ニ行、・・・」とあるが、理由は不明。
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