御入峯日記
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御入峯供奉日記 34 僧正地なり、神主御迎に出る、玉置入口ゟ 御輿被為召候、九ツ時御着御休足、七ツ 時本堂御成、列ハ引導二人、御*撫・阿迦閼伽 御斧年行事、筋御修法あり、弓神楽 児子弐人幡持、終而本地堂三*狐神御成、 本堂庭前にて御*出成之御沙法あり、 玉置山大権現本地持運地蔵菩薩右に 毘沙門、右ママに千手観音、大地なり、 丗日、快晴、御滞留、御内供人にて御忍ひ 松茸山被為入候、 九月朔日、快晴、御機嫌伺に上る、奥通 願候、年行事切原まて御先へ被遣、 尤自分賄にて御持可申与申付、切原ゟ 紀州賄なり、 二日、曇る、卯刻御出門、是より御仏 具箪笥・御装束櫃御被持被遊候、十丁計 *御撫おなで:撫物なでもの。本人の代わりに穢れや災いを祓うために用いる小袖などの衣装。天皇など貴人の衣装を、御通の際に預かり、峯中で祈祷ののち返上し、同時に祈祷札を献上した。将軍家の撫物は幕末で途絶えたが、宮中の撫物は明治まで続いた。撫物は後に下賜される事が多かった。 *三狐神さぐじ:農家で祀る田の守り神。みけつかみ。玉置神社の摂社に祀られている。 *御出成之御沙法:宮門跡が執り行う本格筋御沙法か。御撫物・閼伽水・斧などが登場。
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