御入峯日記
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御入峯供奉日記 27 御休、御弁当供奉面々煎染ニ而昼 飯出ル、御往来共に露払二人 地頭池田仙九郎馳走役人出ル、麻上下着 八人程出ル、七ツ半時御帰、御歩行 被遊小篠御着也、 同廿二日、快晴、辰刻御出門、瑪*瑙瀧・ 閼迦瀧・珊□瑚瀧御成、午刻還御、大黒 岩谷へ御立寄被為在候、 同廿三日、快晴、御休日之処一日御急キ 被遊、小篠御発輿、寅ノ刻御出門ニ成、徒 士山伏抔は廿四日出立被仰出候、是ハ奥向 宿せまきニ付一日おくれニ出立被仰出候、奥 通先達・年行事も御先へ出立被致候、供 奉は坊官方御近習・靡先達・御引 導二人、御法具持山伏也、小篠ゟ小普 賢迄二里、小普賢ゟ大普賢迄難処 ナリ、此宿に右ノ方奥通、左ノ方笙*ノ岩 谷屋へ別れ道有、岨伝へニ而薩*摩おとし *瑪瑙瀧・閼迦瀧:小篠にある行所の瑪瑙窟・阿古瀧か。小篠では、近くの行所を数日巡って修行するのが常であったが、今は阿古瀧や瑪瑙窟などの遠い行所は殆ど行かないという。 *笙しょうノ岩谷:笙ノ窟。奥駈道からは離れた第62行所。平安時代以来多くの修行者の参籠修行が伝えられ、雪中参籠は峯中随一の荒行とされた。標高1450m・幅12m・奥行7m・高4m。 *薩摩おと落し:薩摩転びサツマコロビとも。弥勒岳山腹の鎖のある急坂で薩摩の山伏が転落した所という。
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