御入峯日記
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御入峯供奉日記 26 付候、天気甚晴、 同廿一日、快晴、卯刻和田村御発 輿、上太子多古村地蔵尊御成、十間八間 程の堂也、夫ゟ不*動の岩谷屋御成、此 此衍カ岩屋のうちも先一ノ門・二ノ門・三ノ門・ 辷り石・鏡岩・極楽橋・鎗ノ岩・不動瀧 あり、此滝弐間程も落る、水の落 尻何れへ流れ出哉不知、誠洞ノ内ニ而 不思儀也、笈石・錫杖石・縄懸岩・ 念佛岩・滝ノ上を大天井与云、夫ゟ 次に聖*天岩屋、聖天御姿有、地獄橋 釣鐘岩有、次岩屋、菊*の岩屋与云、 釣鐘岩・念珠岩・法螺岩下蓮華岩・ 薬師瑠璃岩・太刀岩・菊牡丹咲 乱れ岩・上り龍・下り龍・文珠普賢 岩、右岩屋合テ川上四ケ所之行 処也、誠不思儀之岩谷也、夫ゟ上太子多古太 *不動の岩谷:川上村の鍾乳洞のひとつ。不動の窟。1300年前、役行者が発見したという。窟の奥まで140m程もあり、奥には川が滝のように流れ込んでいるが(不動滝)、この大量の水が、どこから来てどこへ流れて行くのか、今でもわかっていないという。 *聖天岩屋:正禅の窟。正善童子・正悪童子・大日如来の像・雲中の行者像などがある。 *菊の岩屋:窟の中に、菊牡丹の咲乱れ岩と名付けられた岩があるので、この名がある。
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