御入峯日記
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御入峯供奉日記 24 々宛赤飯出ル、御馳走ニ御輿しつら え置外加駕籠四五挺出ス、乍去 御門主様御歩行被遊候、夫ゟ上谷 川迄壱里甚遠し、殊更此間双 方杉立ニ而下り難処、雨天ニは、ひ* いる与云虫出て取つき、さす与申事也、 当年は御入峯故、道普請念 ヲ入出来候侭歩行よろし、例年ハ 通路いたし難し、壱里下り流れ 有、上*太古川、又左ノ方山ゟ出ル川 上谷川、此川端へ御茶亭立、 川橋杉の丸太ヲ集メしつらえ懸、 寄奇麗也、御*児子の森与云場所也、 何かいわれ有処也、次ニ上太古村、次ニ 和*田村御着、御本陳川嶋美作与 申者、宮様御家来ニ而代々苗字名 前受預之よし、御殿新ニ立 四間ニ九尺計ノ御殿、御入峯 *ひいる:山蛭やまびる。人畜に吸着して血を吸う。吉野の沢筋や前鬼宿付近には多いという。 *上太古川:上多古川。吉野川の支流。山上ケ岳(大峯山)を分水嶺として北東へ流れ下る谷川。 *御児子の森:多古川と上谷川合流点の多古川中流部の森のことか。いわれは不明。 *和田村:旧北和田村。現在は吉野郡川上村大字北和田。吉野川の右岸。関西電力大迫ダムあり。

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