御入峯日記
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御入峯供奉日記 20 りの岩屋有、少し西ノ方也、御成 八ツ時洞籠川御着、御本坊龍泉 寺真言宗、能堺内也、庭ノうちに 泉*水有、水沢山出ル、洞*籠岩屋 より涌出ル由申、誠清水ナリ、 本尊弥勒、左神變大菩薩、右ニ 蔵王権現御開帳有、霊場ナリ、 又は八大龍王加持水とも云、 同十六日、晴、九ツ時御出門、天の川 御成、道のり五十丁、洞籠川峠 峯迄天ノ川ゟ御輿持せ御迎ニ来ル、 次大門村御休、杦浦宇兵衛与申者 之方御休、御先例也、七ツ時天ノ川 御着、御本坊柿坂右近与申神主、 供奉之面々旅宿被仰付着いたす、 六ツ時ゟ弁*才天御成、御供廻り昼ノ 通り、先神楽殿へ御成、僧正坊官方 *泉水:役行者が大峯修行のとき発見したという「龍の口」から湧く泉で寺名龍泉寺の由来となっている。入峯者はこの水で水垢離をとり峯中行の安全を祈る。大峯山中第一の水行場という。 *洞籠岩屋:蟷螂窟とうろうのいわやか。龍泉寺より山上川の上流にある窟。天川村の観光地になっている。 *弁才天:天河大弁才天社。天河社。日本三弁天の一。山と水の神と推察され、龍泉寺と同じく聖護院・三宝院の両支配。役行者が大峯を開く拠点としたので大峯本宮と伝承する。
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