御入峯日記
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御入峯供奉日記 10 同廿六日、晴、早朝御機嫌窺罷出候処、 宇治は別段御用無之間、帰京いたし 八*月二日昼時迄可罷出与被仰付候ニ付、 夫ゟ帰京いたす、御取次中被申 候ニは、奥向殊之外水不都合ニ付 兎角無人ニ而供奉可仕、御引導 も当年は笈*・斧持参ニ不及、草 履取壱人之外不相成与被申聞候ニ付、 達而御願申上、若党壱人・草履取 壱人は召連度相願候処、被仰付 候間、若党壱人・草履取壱人召連 御帰京迄供奉仕、御引導は始終 御*殿御賄、荷物も御殿御荷 物之内へ御入被下候趣被申聞候、 廿七日、快晴、京都滞留、 廿八日、同断、 廿九日、同断、 *八月二日昼時迄可罷出:門跡は歴代門主にならい、8月3日出立を決めた模様。 *笈おい・斧:山伏が山に修行に入る時の法具の一つ。笈は、修験者が入峯のさい、仏具・衣類・ 書物などを入れて背負う四隅に脚のついた箱形の容器。斧は、採燈護摩に使用。 *御殿御賄まかない:この峯入りでは、引導役の食事は聖護院側が用意することとなった。

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